こちらでは、地震後初めて雨が降った。地震から十日たって、家を失ったり家族の間を引き裂かれたり、被害に遭われた方々の深刻な状況がさらに明らかになってくる。雨と同化するように、気持ちが沈んでいく。明るく穏やかな海は、きっと戻ってくるだろう。が、明るくおだやかな海が、ほんとに明るくおだやかに見えるためには、明るくおだやかな日常生活が営まれていなければ、と気がつく。
大津波のあとに、美しい海を見る日。パール・バックの「THE BIG WAVE 大津波」に描かれた黒井健の挿絵にあるような一日が、早く被災地に戻ってくることを祈る。