友人で、財団法人川端康成記念会の役員をしているMさんに誘われて、長谷の川端康成邸を訪れた。2月19日から名古屋の松坂屋で開催される、「生誕110年 川端康成コレクション展」に向けた所蔵美術品の搬出が行われた。すでにほとんどの美術品が梱包されていたが、幸い、梱包前のいくつかを拝見させてもらうことができた。
中庭に、落椿。
落椿・続き
川端康成記念会の川端香男里理事長が、無造作に取り出した作品は、熊谷守一の「地蔵」。自然で闊達な筆の運びが、地蔵の慈愛の表情を一直線に描き出していてびっくりした。
新たに川端邸で発見された逸品として、先日プレス発表されて話題を呼んだ与謝蕪村の文台。文台を収容する箱に貼られた付票の筆跡がすばらしい。
書斎の入り口の靴箱の上に置かれていたのは、川端康成さんが使っていた下駄だ。
玄関に置かれた備前の大壺に存在感。
広大な木造の平屋の廊下の一部。関東大震災にもびくともしなかったそうだ。
トイレにびっくりした。入り口にある手水場がゆかしい。
そして、入り口に置かれていた履物が床しい。このトイレの広さは半端ではなかった。関東大震災で被害を受けて避難してきた隣近所の方々が、このトイレを寝所に使ったというほどの広さだ。