2009年 03月 08日

陣鐘山の出会い。

月影山道の峠から下ってすぐ、野にあったスノーフレークを撮影していると、後ろから「撮れましたか?」の声。小さな山道をはさんで野の反対側にある家に住んでいるらしい小柄な老人が立っていた。
「日本で初めて生態写真を撮った下村兼史って知ってますか?」
「いえ」
「私の母方の伯父でね」
と語り始めた老人は、大正12年生まれで、86歳になったばかり。祖父は越後屋時代から三越の番頭をしていた重鎮で、自分自身も海軍で軍役を務めたあと三越に勤務した。新宿支店の次長をしていた時には、パンの中村屋を創業した相馬愛蔵さんと親交があった。
「二八を過ぎて、憎からず。知ってますか?」
「いえ」
「伯父がさばけた人でね。小学生の私に教えてくれたんです。二八は16で、二九、18。その間の17歳の娘さんのことを謳ってるんです」
「はあ」
「祖父の別荘が大磯にあって、隣が吉田茂さん。芸者のこりんに電話する時には、家で電話しづらくて、電話を借りにきてました」
この一帯の山は、新田義貞が鎌倉攻めに際してこの地から鐘を鳴らして北条高時勢を牽制した故事に因んで、陣鐘山(じんかねやま)と呼ばれている。
「私は、子どもたちに陣鐘山の小狸と呼ばれてました」と言ってけらけらと笑った。
(CANON EOS 40D)
陣鐘山の出会い。_b0022268_20255029.jpg


by hirofumi_nakayama | 2009-03-08 20:27 | in Kamakura city | Comments(0)


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