2019年 07月 01日

マリメッコのヴオッコ。

昨日は一人旅の興奮とその反作用の緊張の蓄積からか、疲れて泥のように眠った。
起きてヘルシンキのことを思い出している。
九年前にフィンランドのデザインを紹介するイベントで東京を訪れたヴオッコ・エマコリン‐ヌルメスニエミ。マリメッコのテキスタイルとファッションの基礎を築いたデザイナーの一人だ。取材で彼女をインタビューし、ポートレートを撮影した。
「その写真、送ってね」と彼女に言われ「はい」と気軽に応じて、そのまま送れないでいた。その約束を果たすべく、ヘルシンキの市内近郊にあるマリメッコの本社を訪ね、受付の女性にその経緯を説明して、プリントしたポートレートの写真を託した。
偶然、受付の女性はヴオッコの友人で、「今でもよく会っている、ここから五キロのところに住んでいる、元気よ」と言い、「間違いなく渡すわ」と大きな眼を開いて約束した。ヴオッコは現在は89歳になっているはずだ。
安心して、「ありがとう」と踵を返すと「待って」と彼女に呼び止められて振り向いた。
受付の後ろにある大きな白い棚の扉を開いて本を取り出すと、「これ持ってって」と彼女。「marimekko in Patterns」とタイトルのある大きな本だった。「ありがとう」と彼女と固く握手する。自分が写真を運んだ行為を認めてくれたのだろう。
今、開いている。英語で書かれたマリメッコの歴史、目指すデザインの本質、制作の過程、デザイナーたちの紹介と、マリメッコを総括するような本だった。



2010年10月28日、新宿、リビングデザインセンター。ヴオッコ・エマコリン‐ヌルメスニエミ。
彼女がデザインしたパターンをプリントした小物入れを手にしている。
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marimekko in Patterns
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ヴオッコの記事。

彼女は、テキスタイルデザイナーとして,デザイン、柄、色に革命をもたらしたあと、すぐにファッションデザイナーとして中心的役割を担うようになった。ゆったりとしてシンプルにカットされた彼女のデザインした服は、女性からコルセットを駆逐することに成功した。ジャクリーン・ケネディが彼女のデザインした服を七点も購入したことがさらに彼女の名前を有名にした。モダンアートから触発されたカラフルでシンプルなパターンを重ねてプリントする手法は、その後、マリメッコデザインを構成する基礎となった。

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あまりにも有名なUNIKKOのデザイン。UNIKKOとはポピーのことだ。

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デザイナーとしてマリメッコに業績を残した日本人の石本藤雄も紹介されている。

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by hirofumi_nakayama | 2019-07-01 20:07 | in Helsinki, Finland | Comments(5)
Commented by hisami at 2019-07-01 20:47 x
無事にお帰りになったようでよかったです。

「ヴオッコ・エマコリン‐ヌルメスニエミ」
彼女との約束を果たしに行かれたのですね。かっこよすぎます nakayamaさん!

南青山のスパイラルマーケットへ出かけたとき 偶然 「石本藤雄展」が開催されていたんです。マリメッコに日本人デザイナーがかかわっていたとは知りませんでした。
日本人のファンが多いのには 日本人である彼の感性にも原因があったということでしょうか。もともとマリメッコは好きでしたが 急に親近感が湧いてきていたところでした。
Commented by さくら at 2019-07-02 07:46 x
nakayamaさん、おかえりなさ~い
素敵な旅のようでしたね。
沢山、お話し伺いたいですよ!(^^)!

マリメッコ、学生の頃、憧れでした。
ラッピングバス、可愛い!
日本もあれくらいの遊び心があってもいいな
Commented by hirofumi_nakayama at 2019-07-02 21:41
皆様、旅行中はいっぱいいっぱいで、皆様のコメントにご返事もできず、失礼しました。お許し下さい。
Commented by hirofumi_nakayama at 2019-07-02 21:50
hisamiさんも石本藤雄さんのこと、ご存知だったのですね。
世界を旅して最後にフィンランドに落ち着いた彼は、マリメッコのパターンに、カラフルでありながら新しく発見された自然のリズムと陰影を加えた、と本に表現されていました。
Commented by hirofumi_nakayama at 2019-07-02 21:53
さくらさん、あのラッピングバスは、2012年に新しくマリメッコのお店が開店するのに合わせて装飾を施された香港の2階建てバスだそうです。


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