家に帰ってくると、ちょうどNHKのニュースで、眼の見えない子供たちの撮影した写真を集めた写真展を紹介していた。弟の寝顔、電線に止まってる小鳥たちなど、音を頭の中に見て、シャッターを押している。どれも、対象が見えていなかったなんて信じられない、存在を捕らえた素晴らしい写真だった。
写真って、何んだろう。眼に見えることが何なのだろう。根本から考えてみたくなった。
写真は光と影。視覚によって確認した対象を、視覚によって抽出された自分のイメージに重ね合わせるように再現する。少なくとも、自分にとって、写真を撮る行為は、そんなこと。視覚がなければ、自分の写真は考えられない。
が、音を経路にした対象のイメージが彼らの中にあり、われわれが見る以上に集中して対象を見ている。たまたまカメラという器具によって、われわれにも共有できる映像に変換された彼らの中にあるイメージは、われわれが見ているものより、物理的に眼に見えるものより、もっと大事なことを自然にはらんだはるかに際立ったものであるに違いない。
視覚に優先するものがある、それが分かった。
視覚に引きずられて、ほんとには見えていないものを写真にしているだけ、自分の写真はそうであるかも知れないと思い直す。
*盲学校に通う子どもたちの写真展「kids Photographers 子どもは天才!」
日本新聞博物館 7月3日〜8月26日
(07/07/15 CANON EOS Kiss DX)